シンポジウム1 講演3

超音波と光の融合による医用画像技術の最先端:光超音波(photoacoustic)イメージング

演者:
椎名  毅(芝浦工業大学SIT総合研究所 教授)

[抄録]
がん,関節リウマチ,動脈硬化,糖尿病などの主要疾患の多くは,血管や循環状態の異常として現れることから,微細血管の構造の変化や血液状態の可視化により,早期診断や良悪性の鑑別診断の精度向上が期待される.
光超音波(photoacoustic)イメージングは,ナノパルスレーザ光を照射して,光音響効果により体内の血液等から生じる超音波を検出して,無被曝,非造影で,血管の形状や酸素飽和度などの機能を,高解像度で3D表示可能な新規イメージング技術として期待されている.我が国においては,京都大学とキヤノン(株)が,2006年から文部科学省の協働研究プログラムにおいて研究を進め,乳癌診断用の光超音波マンモグラフィのプロト機を開発している.また,その成果は,2014 年の内閣府の革新的研究開発推進プログラム(ImPACT)や,2019年AMEDの先進的医療機器開発のプロジェクトに引き継がれ,光超音波計測のより幅広い適用分野の開拓と,その実用化に向けた研究開発が進められている.本講演では,これらの光超音波イメージング技術の実用化への取り組みについて紹介したい.

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