シンポジウム2 講演3

自然言語処理による読影テキスト解析の未来

演者:
荒牧 英治(奈良先端科学技術大学院大学・先端科学技術研究科 教授)

[抄録]
今,医療分野の言語処理が急速に進歩しています.
病院情報システムに集積される医療データは,画像,映像,検査値など様々なモダリティがありますが,所見や診断など医療テキストもかなりの割合を締めます.今,その医療テキストを扱う医療言語処理が,急速に進みつつあります.この躍進のドライビングフォースは,大規模言語モデルの進展,標準データの整備といった研究環境の整備,また,人間の判断を直接反映する医療言語処理への期待があります.本発表では,その進歩を総論的に俯瞰します.
さらに,現在もっとも難しいモダリティとされた言語処理の進歩により,病院で生成される多様なデータについて,統合的な高度の情報処理が可能となったと言えます.しかし,その結果,どのようなサービスが実現するのか,革新的な何か,巷でいうDXがどう起きるのかといった,次世代の医療サービスのビジョンについては,まだ十分なイメージがシェアされていないように思います.本発表では,アプリケーションの具体例として読影レポートの自動データベース化,自動生成など最新の試みを紹介し,今後の可能性を議論します.

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