シンポジウム1 講演1
光コヒーレンストモグラフィー(OCT)の進展
演者:
西澤 典彦(名古屋大学大学院工学研究科 電子工学専攻 教授)
[抄録]
光コヒーレンストモグラフィー(OCT)は,広帯域光を用いた干渉計測によって,umオーダーの高分解能な断層イメージを非侵襲・非破壊で得ることのできる光計測手法であり,医用工学の分野を中心に注目を集めている.OCTでは,光源のスペクトル幅が広いほど,高い分解能を得ることができる.また,光の侵入を妨げる主要因である散乱と吸収は波長に依存するため,光源の開発は重要である.我々は,超短パルスファイバレーザーをベースとした広帯域なスーパーコンティニューム光を複数の波長帯で生成し,それを用いて高分解能かつ高感度なOCTイメージングの研究を進めてきた.これまでに,波長1.7 um帯において,マウス脳の深部のイメージングや,光コヒーレンス顕微鏡(OCM)による神経組織や脳内血管のイメージングに成功した.本講演では我々の最近の成果と共に,OCT研究の動向を紹介し,今後の課題を議論する.